現代においては、デジタル技術の目覚ましい発展によって、我々の生活は急激に変化し、毎日様々なデジタルサービスを利用しています。特にPCやスマートフォンは1人が1台持っているといっても過言ではなく、それらのデバイスにおいて様々なアプリケーションが利用されています。
本記事では、あらゆるサービスやOSに搭載されている「ダークモード」の機能について、UX改善においてその注目される理由や重要性、活用事例もあわせて解説していきます。
目次
ダークモードとは
ダークモードは、画面の背景を暗色、通常は黒やグレーにし、テキストや重要な情報を明るい色で表示するインターフェース設定のことを指します。従来の明るい背景のライトモードとは対照的で、ユーザーに異なる視覚体験を提供します。視覚的な負担の軽減やバッテリー消費の削減などのメリットが挙げられる中で、更にモダンで洗練されたデザインに感じられるなどUX(※)の観点でのメリットも期待されています。
※「UXとは」…
UXとは「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」の略でユーザーが購買サービスの利用を通じて得る体験全体のことを意味します。とりわけITサービスの画面の美しさや使いやすさなどの利用体験だけに焦点を当てて語られることが多いですが、実際はオンライン / オフライン問わずユーザーが得る体験についてはその全てを指しています。
※UXの重要性に関しては過去の記事「DXを推進する際になぜUXを重要視する必要があるのか?」を参照
また、近年ではユーザーの好みに応じてライトモード/ダークモードを切り替えるオプションが多くのデジタルサービスで提供されることがだんだんと標準になってきています。

UX改善においてダークモードが注目される理由
では、そもそもなぜダークモードが注目され多くのユーザーに利用されるようになってきたのでしょうか?関心が高まってきたとされる理由は大きく以下の2つに分けることができます。
- 視覚疲労と健康意識の高まり
年々、スマートフォンやパソコンの長時間使用が日常化し、視覚疲労や眼精疲労を訴えるユーザーが増加しています。特に、夜間や暗い環境でのデジタルデバイス利用が多い現代のライフスタイルにおいて、ダークモードは画面の光量を抑え、目の負担を軽減することにつながります。この健康志向のトレンドが広がる中で注目を集めてきました。
- バッテリー寿命と持続可能性の関心
近年のデバイスにはOLEDディスプレイが普及し、これは暗い色ほど電力消費が少なくなります。時代の潮流として持続可能性や省エネルギーに関する関心が高まる中で、電力消費の削減ができるダークモードは、環境負荷の軽減にも寄与します。このように、環境やエネルギーへの意識の高まりもダークモードへの関心の高まりを後押ししています。
ダークモードがもたらすメリット / 効果
そのような中でダークモードはUX改善にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?大きくは以下の2点にまとめることができます。
- 視認性向上による集中力と効率のサポート
ダークモードは、明るい背景に比べて眩しさを抑えられるため、視認性が高まり、画面上の情報に集中しやすくなるという大きなメリットがあります。特にコントラストが重要なデザインでは、テキストや重要な要素が目立ち、ユーザーが効率よく情報にアクセスできる環境を提供することができます。これにより、長時間の作業や読書に適したデザインとなり、ユーザーの集中力が保たれ、サービスの体験を向上させます。
- 個別のカスタマイズ体験による満足度向上
ダークモードは、ユーザーの個別の好みに合わせたテーマ切り替えが可能なため、カスタマイズ性を高める役割を果たします。ユーザーが好みや使用状況に応じて明るさやコントラストを調整できることで、よりパーソナルで柔軟な体験が提供され、結果的にユーザーの満足度が向上します。
ダークモードを活用する際の注意点
多くのメリットがあるダークモードの活用ですが、以下にあげたような点に注意することが必要になります。
- 配色とコントラストの調整
ダークモードの配色設計では、背景が暗くなるために通常のカラーパレットが適切に機能しないことがあります。特にコントラストの不足は、結果的に情報の視認性を低下させるリスクがあります。高コントラストを意識した色の選定や、目の疲労を軽減するための配色調整が求められ、見やすくかつ直感的なデザインを維持することに気をつけましょう。
- ユーザーの切り替え設定の利便性
ダークモードはすべてのユーザーが好むわけではなく、利用シーンや環境に応じて異なる設定が求められるケースが多いです。明るいテーマとのスムーズな切り替えや、デバイスやシステム設定に合わせた自動切り替え機能を搭載することで、ユーザーが直感的に操作できるようにすることが重要です。選択の自由度を高めつつ、ユーザーの操作負担を軽減する工夫がポイントとなります。
ダークモードを利用したUX改善の事例
実際に、ダークモードを用いることでどういった成功を収めることができるのでしょうか?ここでは世界的にも最も有名なSNSとなっている「X」の導入の事例を紹介します。
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背景・課題
Xは、ユーザーが夜間や暗い環境で使用することが多い一方、従来の明るいインターフェースが長時間の利用において目の疲れを誘発するという課題がありました。また、バッテリーの持ちを気にするユーザーも増えており、特にOLEDディスプレイを搭載したデバイスでの省エネのニーズが高まっていました。
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施策
Xは、ユーザーにより快適な使用体験を提供するため、ダークモードを導入しました。ダークモードには、通常の暗い色調の「ダーク」とさらに深い黒の「ブラック」の2種類を設定し、好みに応じた選択が可能にしました。デザイン面でも、ツイートやメニュー表示の際に視認性を保つようにフォントやレイアウトの微調整が行われました。
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成果
ユーザーからのフィードバックにより、夜間や低照度環境での利用が目に優しくなり、視覚的な負担が軽減されたことが確認されました。また、OLEDディスプレイでの利用時にはバッテリー消費の低減が見られ、結果としてユーザーの満足度向上に寄与しました。これにより、特に夜間利用者のアクティブ率の増加が見られ、ユーザーのエンゲージメント向上に繋がりました。
UXを重視したプロジェクトを推進するためには
自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。
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社内 / プロジェクト内のUX人材育成
社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。
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組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙
社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。
結論 / まとめ
ダークモードの活用は、今後様々なサービスにおいても当たり前に搭載されていくことが予想されます。また、根本的なメリットである集中力の向上やパーソナライズされた体験による満足度向上のためによりその技術は発展していくことが考えられます。これを機に、自社サービスでもダークモードの導入の余地があるかを検討してみてはいかがでしょうか?
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