昨今、目覚ましい技術発展により我々の生活は日々変化をしています。特に数年前まではなかったようなサービスやプロダクトが次々と生み出されることで、生活の当たり前が大きく変わっているような場面も多いのではないのでしょうか? そのような新規サービスはどのようにして生まれ、どのようにしてユーザーに使われるようになっていくのでしょうか?
本記事では、組織やプロジェクトにおけるUXを改善するチームが優れていることの価値や貢献に焦点を当てて、そのビジネスにおける重要性とあわせて解説していきます。
目次
UXデザイン・UXデザインチームとは
UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインは、ユーザーが製品やサービスを使用する際の全体的な体験を設計するプロセスです。使いやすさ、アクセスしやすさ、満足度を高めるために、ユーザーのニーズや行動を理解し、それに基づいたデザインを行います。これにより、ユーザーが製品やサービスを直感的に利用できるようになり、満足度が向上につながります。
また、UXデザインチームは、このUXデザインのプロセスを効果的に進めるための専門チームのことを指します。いかに列挙するような多様なスキルを持つメンバーが協力して、ユーザーを中心に据えたデザインを実現することを目指します。具体的にはユーザーリサーチ、プロトタイピング、ユーザビリティテストなどの手法を用いて、継続的にデザインの改善を図ります。
- デザイナー
ユーザー体験を構築するサービスのデザイン、ヴィジュアルなどの検討を主に推進する
- リサーチャー
ユーザー体験を考える上で判断に必要な情報を集めるためにアンケートやインタビューなどの調査を推進する
- エンジニア
実際にサービスを作るためにプロダクト開発を推進する
- プロジェクトマネージャー
ミスや遅滞なくプロジェクトが推進されるようにプロジェクト推進全体を管理する
優れているUXデザインチームの要件とは
では優れているUXデザインチームとはどのようなものなのでしょうか?近年、様々なサービス組織や企業でUXデザインが注目されている中で以下のような点が優れたチームの要件だとされています。
- ユーザー中心の視点と共感力
UXデザインを行う際にはユーザーリサーチやペルソナの作成、ユーザビリティテストなどの手法を活用し、ユーザーの行動や感情に共感することが求められます。共感力を持つことで、ユーザーが本当に求めているものや、どのような体験が彼らにとって価値があるのかを見極めることができ、それに基づいたデザインが可能になり最終的にユーザーに受け入れられる価値あるプロダクトを作ることができます。
- 他組織との柔軟なコラボレーション能力
他のチーム(開発、マーケティング、プロダクト管理など)と密に連携し、分断されることのないスムーズなコミュニケーションを行う能力も不可欠です。UXデザインは単独で完結するものではなく、他部門との協力を避けて通ることはできません。ズレのない協働を通じて、優れたユーザー体験を提供できるデザインを生み出すことができます。
UXデザインチームを構築するメリット / 効果
UXデザインチームを組成してサービス開発を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?大きくは以下の2点にまとめることができます。
- 顧客満足度とユーザーリテンションの向上
専門的なデザインとユーザーリサーチに基づくUXデザインチームを中心にプロダクト開発をすることでユーザーの課題をダイレクトに解決した直感的で使いやすいインターフェースを設計することができます。これにより、ユーザーが製品やサービスを利用する際の体験が向上し、満足度が高まります。結果として、ユーザーリテンションが向上し、顧客のロイヤリティが強化されることは企業としての収益に直結します。
- イノベーションと競争力の強化
UXデザインチームは、ユーザーのフィードバックや市場のトレンドを継続的に収集・分析し、新しいアイデアや改善策を迅速に取り入れることができます。これにより、企業は常に最新のデザイントレンドや技術を反映させた製品やサービスを提供できるため、市場での競争力を維持することができます。企業は他社との差別化を図り、長期的な市場での成功をおさめることにつながります。
優れたUXデザインチームを構築する際に注意すべきこと
UXデザインチームを組成するためには、以下にあげたような点に注意することが必要です。
- 多様性の確保と包括的な視点の導入
UXデザインは、さまざまなユーザー層に対して効果があるものである必要があります。そのため、チームに多様なバックグラウンドを持つメンバーを集めることで、幅広いユーザー層のニーズや課題に対応できる包括的なデザインが生まれます。また、ジェンダー、文化、年齢などの多様性が考慮されていないデザインは、一部のユーザーにとって使いにくいものになる可能性があり、こちらについても多様性を意識したチーム編成によって、よりユーザー中心のデザインを実現することができるとされています。
- 明確なコミュニケーションとフィードバックの仕組み
UXデザインは、一度きりの改善で全てがよくなる訳ではなく繰り返し改善していくプロセスです。そのような中ではチーム内でのコミュニケーションが円滑で、フィードバックの仕組みがしっかりと整備されていることが重要です。時には遠慮のないコミュニケーションによってメンバー間でデザインの意図や目標を共有し明確に同じゴールに向いてプロジェクトを推進することが求められます。定期的なレビューやオープンな意見交換の場を設けることで、チーム全体の成長を促進し、優れたUXデザインを生み出す土壌を形成することが重要です。
優れたUXデザインチームの事例
実際に、優れたUXデザインチームを作ることでどういった成功を収めることができるのでしょうか?今や世界のMapサービスで最も使われており我々の生活にも欠かすことのできない「Google Maps」を例として紹介します。
課題/背景
Google Mapsは、世界中で利用される地図サービスですが、多くのユーザーに利用されその期待が高まる中で使いやすさと精度の向上が必要でした。特に、新しい機能の導入や既存機能の改善において、ユーザーインターフェースの直感性と情報の視覚化が課題となっていました。
施策
Googleは、UXデザインチームを中核に据えて、サービス全体の使いやすさと視覚的な魅力を高めるための施策を実施しました。
- ユーザー調査とプロトタイピング
GoogleのUXデザインチームは、世界中のユーザー行動を詳細に分析し、特定の地域やユーザー層に適したデザインのプロトタイプを開発しました。このプロトタイプをもとに、ユーザー調査をおこなっては改良を繰り返しリリースまで徹底的にテスト・改善を繰り返しました。
- リアルタイムデータの視覚化
UXデザインチームは、エンジニアリングチームと連携し、リアルタイムデータを視覚的に分かりやすく表示するインターフェースを設計しました。これには、交通状況や混雑度の表示、最適ルートの提案など、ユーザーが瞬時に理解できるようなデザインが含まれます。
- グローバルなデザインガイドラインの策定
UXデザインチームは、Google Mapsのグローバル展開に対応するため、地域ごとのユーザー体験を統一するデザインガイドラインを策定しました。これにより、どの地域でも一貫した操作感を提供しつつ、地域特有のニーズに応えることが可能となりました。
効果
これらの施策により、Google Mapsはさらに直感的で使いやすいサービスへと進化しました。リアルタイムデータの視覚化はユーザーの移動のしやすさに直結し継続的なプロトタイピングにより、ユーザーエンゲージメントが高まりました。このような成果のおかげもありGoogle Mapsは世界中のユーザーから高い評価を受け続けています。
UXを重視したプロジェクトを推進するためには
自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。
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社内 / プロジェクト内のUX人材育成
社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。
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組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙
社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができず、プロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫することも考えられます。
結論 / まとめ
優れたUXデザインチームを構築するには、ただプロフェッショナルな人を集めるだけではなく、多様性を重視した上でその協働の仕組みを整え組織の中で最も効果的に貢献ができる体制を整えることが大事だと述べました。今後もテクノロジーの発達により様々なサービスが生み出される中で企業は積極的にUXデザインを中心にして価値を高めていくことが求められるでしょう。この機会に、自社でもUXデザイン組織の必要性を、いま一度考えてみてはいかがでしょうか?
【今すぐにでもデザイン思考を重視したプロジェクトを推進したい場合は】
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