現代においては、デジタル技術の目覚ましい発展によって、我々の生活は急速に変化しています。特に、メタバースといったバズワードとともにVR/ARなどの最新技術は日々の生活の中でも触れる機会が続々と増えてきたのではないでしょうか?昨今のITサービスのユーザー体験を考える上でもこのVR技術は大きな注目を集めており、VR技術について考えずにサービス設計をすることができなくなる日もそう遠くはないでしょう。
本記事では、改めて「VR技術」というキーワードについて、その注目される理由や重要性、活用事例もあわせて解説していきます。
目次
VR技術とは
VR(仮想現実)技術は、CGやセンサー技術を活用して、ユーザーを仮想空間に没入させる技術のことをいいます。具体的に、ユーザーはVRヘッドセット(ソニーのXperia View、MetaのMeta Questなど)やコントローラーを使用し、身体的な動作やジェスチャーで仮想空間内で自由に操作・反応をおこなうことができます。ゲーム、教育、訓練、医療、エンターテイメントなど、さまざまな分野で利用され、没入感の高い体験やリアルなシミュレーションを提供することで昨今のITサービスにおけるUX(※)を進化させています。
また、まだ発展途上の技術なので、日々さらなる進化を遂げつつあり、よりリアルな体験や高度なインタラクションを実現するための新しい技術やアプリケーションが次々と登場しています。
※「UXとは」…
UXとは「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」の略でユーザーが購買サービスの利用を通じて得る体験全体のことを意味します。とりわけITサービスの画面の美しさや使いやすさなどの利用体験だけに焦点を当てて語られることが多いですが、実際はオンライン / オフライン問わずユーザーが得る体験についてはその全てを指します。
※UXの重要性に関しては過去の記事「DXを推進する際になぜUXを重要視する必要があるのか?」を参照
またVRに似た用語にMRやARといった技術名称もあります。これらは現実における体験を技術によってアップデートするものではありますが以下の表にまとめるような違いがあります。
VR技術が注目される理由
では、VR技術は他の最新技術とはどういった点が異なるのでしょうか?特にVR技術が注目される理由は大きく以下の2つに分けることができます。
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リモートワークとデジタル接触の需要増加
近年、コロナウイルスの蔓延により、多くの企業がリモートワークを導入しました。このような状況下で、VR技術の活用によりリモートでのコラボレーションや仮想的なワークスペースのニーズが大きく増加しました。また、リモートでのイベントや会議、展示会などの実施も増加しており、VRを用いてリアルな体験を提供することの重要性が高まりました。
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デジタルエンターテイメントの多様化と需要拡大
昨今のエンターテイメント業界では、ストリーミングサービスやオンラインゲーム、仮想ライブイベントなど、デジタルコンテンツの需要が急増しています。VR技術は、これらのコンテンツをより没入型でリアルな体験に変える可能性を秘めています。VRを利用した仮想コンサートやVRゲームなどの新しい娯楽が登場し注目を集めています。
VR技術がもたらすメリット / 効果
VR技術を導入してサービス開発を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?大きくは以下の2点にまとめることができます。
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没入型体験の提供
VR技術を活用することで、ユーザーに没入型の体験を提供することができます。例えばユーザーはVRヘッドセットを使用して、仮想空間に完全に没入し、リアルな体験を享受することができます。このような没入感の高い体験は、顧客の満足度を向上させ、競合他社との差別化を図ることにつながります。また、商品やサービスの体験販売やバーチャルツアーなど、新たな販売手法の展開にも役立つことでしょう。
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リアルなシミュレーションとトレーニング
VR技術を使用することで、リアルなシミュレーションやトレーニング環境を提供することが可能になります。特に、危険な作業環境や高度な技術を必要とする場面でのトレーニングにおいては、仮想空間を活用することで安全かつ効果的な訓練を行うなどのメリットを産むことができます。例えば、医療や航空、製造業など、さまざまな分野でVR技術を活用した訓練シミュレーターが導入され、効率的なスキル獲得やリスクの軽減が実現されています。
VR技術を活用する際の注意点
多くのメリットがあるVR技術の技術活用ですが、以下にあげたような点に注意することが必要になります。
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ユーザーの安全と健康
VRを使用する際は、ユーザーの安全と健康を最優先に考える必要があります。長時間の使用や過度な没入感は、VR酔いや眼精疲労などの問題を引き起こす可能性を秘めています。適切な休憩や運動を取り入れることをサービス側から促すなどの工夫が求められることに注意しましょう。
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コンテンツの制作と品質管理
VRコンテンツを制作する際は、高品質な体験を提供することが求められます。リアリティや没入感を損なうようなバグや技術的な問題は避けなければなりません。また、VRコンテンツはユーザーに直接的な影響を与える可能性があるため、コンテンツの内容や表現にも慎重になる必要があります。
ITサービスにおいてVR技術を用いた成功事例
実際に、VR技術を用いることでどういった成功を収めることができるのでしょうか?ここではアメリカ最大手のスーパーマーケットを展開する企業「Walmart」の技術導入の事例を紹介します。
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背景・課題
Walmartはアメリカ全土に広く店舗を出店をしているなかで、日々、新しい従業員をトレーニングするための大規模な教育プログラムを実施していました。しかし、従業員のトレーニングプログラムの費用対効果が悪く、また従業員が実際の店舗環境での状況に慣れることが難しいという課題を抱えていました。
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施策
Walmartは、VR技術を活用して新しいトレーニングプログラムを開発しました。このプログラムにより、従業員がVRヘッドセットを使用して、リアルな店舗環境でのさまざまなシナリオを体験することができるようになりました。トレーニングでは、顧客対応や商品陳列、安全手順などを実際に体験することができ、従業員が実際の作業に慣れるサポートを行うことができました。
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成果
VRを活用したトレーニングプログラムにより、Walmartは従業員のトレーニング効果を大いに向上させることができました。従業員は、リアルな環境でのシミュレーションを通じて、より実践的なスキルを身につけることができます。また同時に、VRを使用することで、トレーニングコストや時間を削減し、効率性を向上させることができました。
UXを重視したプロジェクト推進を行うには
自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。
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社内 / プロジェクト内のUX人材育成
社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。
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組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙
社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。
結論 / まとめ
VR技術は、今後のサービス開発においても目覚ましい進歩を遂げ、大きな注目を浴びていくことが考えられます。様々なサービスでVR技術が導入され、刺激的で面白いコンテンツが生み出されたり、ビジネスの現場でも教育やコミュニケーション促進の観点で様々な活用方法が見出されたりすることが予想されます。これを機に、自社でもVR技術の導入の余地があるかを検討してみてはいかがでしょうか?
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