昨今、テクノロジーの進化により我々の生活は様々な変化を遂げています。特に、時代の流れにつれて人材の流動性は大きな高まりを見せ、ひと昔前までは珍しかった転職はいまや当たり前になり、新卒就活にも多種多様な選択肢が開かれるなど業界も目覚ましい発展を見せています。
人材業界といえど仕事探しに関する様々なサービスが存在しています。本記事では人材関連サービスにおけるUX改善のポイントや改善事例について解説します。
目次
人材サービスについて
はじめに、本記事におけるキーワードである「人材サービス」が具体的にどういったサービスを指しているかについて説明します。
本記事における「人材サービス」は主に以下のようなサービスを指します。
- 新卒就活や転職における情報メディア(リクナビ・マイナビなど)
- 転職のマッチングプラットフォーム(ビズリーチなど)
人々が毎日働く上での職探しをスムーズにし、求職者にも企業側にもどちらにとっても価値のあるマッチングを生み出すためには欠かせないサービスです。2022年の平均の転職等希望者数は、前年から71万人増え、968万人となりました。 伸び率は約8%にまでなり、今後もますます発展していくことが予見され、次々と多くのサービスが生まれていくことでしょう。
人材業界においてUXデザインが重要な理由
人材サービスにおいてUXデザインが重要だと言われる理由は以下の2点とされます。
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必要な情報量が多く、検索に時間がかかる
一つの会社、特定の業界においても幅広い職種が存在し、その時々において求められるポジションは変化します。すなわち、どう言った背景で募集をしており、どう言った要件の人材を求められているのかという情報は膨大に存在し絶え間なく変化を見せてます。この中から自分の今のスキルや境遇にあっている求人を探すということは非常に長い時間がかかり、体験が悪いと離脱に繋がりやすくなります。
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人材不足の中で求職者と接点を持つことが重要
昨今の労働人口の減少が問題視される中、企業は常に人材不足の問題に直面しています。そういった中で、まずは人材サービス上で求職者と接点を持ち、実際に面談などの会話をする機会を設けることが非常に重要になります。その入り口となるサービスにおいて、ユーザーの使いやすさは応募率やその後の通過率に大きな影響を及ぼします。
人材業界におけるUXデザイン改善の効果 / メリット
前述のように、人材サービスにおいてはUXデザインの改善が大きな効果をうむことがわかります。その具体的なメリットは以下の2点とされます。
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多くのユーザーに利用されて収益が増える
優れたユーザー体験を構築することで、ユーザーがサービスをスムーズに利用することができるようになると多くの求職者を集め、企業とマッチングすることができます。結果として、採用は成果課金や掲載課金で行われることが多いので成果の最大化や継続的な掲載につながり、企業側から得られる収益が増えることにつながります。
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サービス上でコミュニケーションができリソースが削減できる
旧来は、一人一人の求職者にアドバイザーが専任で対応し、長い時間をかけて採用を成功させることが当たり前でした。しかし、サービス上で求職者であるユーザーが様々な情報を得て、自走しながら応募までをおこなうことができれば、それまでかかっていた対応工数が大幅に削減でき、結果的に大幅な利益率向上につながります。
人材業界におけるUXデザイン改善をおこなう際の注意点
人材サービスの分野において効果的なUX改善を行うために注意すべき点は主に以下の2点です。
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ユーザーが欲しい情報をレコメンドする
求職者が求めている職というのは、とても個別性が高いものになります。すなわち、その人に本当にマッチした求人というものは数少なく、簡単には見つけることが難しいのが現状です。そういった中で、ユーザーの情報や行動履歴をもとに正しいレコメンドを行いサービス上でおすすめをすることができれば、離脱をすることなく高い確率でエントリーまで進ませることができるでしょう。
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応募プロセスをできる限りスムーズにする
求職者にとって転職先や就職先を決めるということは人生を大きく左右する決断であり、判断力や覚悟を要するものです。その際、応募をしたり、面談を依頼したりする際にはどうしても躊躇してしまうような場面も多く存在します。採用を検討する企業側からすると、まずは応募してもらわないとコミュニケーションが始まらないので、応募情報の入力などの手間のかかるプロセスは極力削ったUX設計が必要になります。
人材業界におけるUXデザイン改善の成功事例
ここでは世界的な人材コネクションプラットフォームである「LinkedIn」のUX改善の事例を紹介します。
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背景
LinkedInはユーザーが仕事を見つけ、キャリアを構築し、ビジネスにおけるネットワークを拡大するためのサービスを提供しています。LinkedInはサービス上の繋がりを増やすことを事業成長の鍵ととらえUXを向上させ更なるつながり促進を目指していました。
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施策
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プロフィールの強化
LinkedIn上ではユーザーが自分の職歴、スキル、実績を細かく入力できるようになっています。写真のアップロードを簡単にしたり、より専門的なスキルを入力できるようにするなどの改善をしました。
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推薦状の機能開発
ユーザーが、自身の仕事の実績やスキルに対する信頼性を向上させるために用いる推薦状の機能を導入し、他のユーザーからの推薦を自分のプロフィールに追加できるような改善を実施しました。
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仕事検索のカスタマイズ性向上
レコメンド機能も入った検索機能を提供し、ユーザーが仕事の条件や業界に基づいて効率的に仕事を検索できるようにしました。さらに、求人情報の推奨機能を導入して、ユーザーに適した仕事の機会を企業側からも提供できるように機能導入もおこないました
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プロフィールの強化
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効果
プロフィールの強化と推薦状の機能開発により、ユーザーは積極的にプラットフォーム上で活動し、自身のスキル・経験をさらに強調することができるようになりました。また検索機能も強化することで個々人のキャリア形成を促進したのみならず、企業側にも大きな効果をもたらし、ますますLinkedInというプラットフォームの価値を向上させることに成功したといえるでしょう。
UXを重視したプロジェクトを推進するためには
自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。
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社内 / プロジェクト内のUX人材育成
社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。
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組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙
社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。
結論 / まとめ
転職や就職といった人材サービスにおけるUX改善は、サービスを使いやすくし、求職者と企業を効率的にマッチングし価値のある職探しを実現するためには不可欠であることを解説してきました。継続的なUX改善を続けていくことで求職者が使いやすいサービスが生まれ、多くのユーザーの毎日の仕事を良いものにすることを後押しすることができます。今一度、自社のサービスについても課題を見つけ、UXデザイン改善について議論してみてはいかがでしょうか?
【今すぐにでもデザイン思考を重視したプロジェクトを推進したい場合は】
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