【ヘルスケア業界の担当者は必見！】ヘルスケアサービスのUXデザイン改善のポイントを解説

はじめに、本記事におけるキーワードである「ヘルスケアサービス」が具体的にどのようなサービスを指しているかについて説明します。

本記事における「ヘルスケアサービス」は主に以下のようなサービスを指します。

• 健康管理サポート：MyFitnessPal、Lose It!など
• 健康診断・診療：ポケットドクター、メディカルノート、Ubieなど

人々が生活する上で、自身の健康のことを考えずに暮らしていくことはできません。人々の健康管理を簡単・便利にしていくヘルスケアサービスは多く存在し、これからも多くのプロダクトが生まれてくることが予見されます。

ヘルスケアサービスにおいてUXデザインが重要だと言われる理由は以下の2点とされます。

• 幅広い利用者に利用してもらわなければいけない

  自身の健康・生活の管理については老若男女問わず関心があり、そしてさまざまな課題を抱えています。そんな中では「誰しもが簡単にストレスなく利用できる」ということが必須の条件になってきます。UXを向上することで利用者や利用の場面を限定せず、様々なケースで利用してもらうことが可能になります

• ユーザーから信頼を持ってもらわなければいけない

  ユーザーの健康や生活に関わるサービスを提供する際に、そのサービスに信頼がないと利用してもらうことは難しいでしょう。仮にミスコミュニケーションが乱発したりユーザーの不利益になるようなことがあると一挙に利用停止に繋がります。ユーザーの体験が良いものであればあるほど安心して使ってもらい信頼を向上させることができます

前述のように、ヘルスケアサービスにおいてはUXデザインの改善が大きな効果をうむことがわかります。その具体的なメリットは以下の2点とされます。

• 多くのユーザーに利用されて収益性が高まる

  優れたユーザー体験を構築することで、ユーザーがサービスをスムーズに利用することができるようになることで競合他社のサービスに乗り換えることを避ける傾向があります。結果、多くのユーザーが集まり様々なデータを確保することができ、さらに価値のあるプロダクトを作ることができるようになります

• サービス上で正しいコミュニケーションができコストが削減できる

  UXデザイン改善により、ユーザーがスムーズに決済・投資・資金管理をできるようになります。これにより、日々の運用で対応していた問い合わせやキャンセルが減り、結果的に事業運営のコストを削減することができます

ヘルスケアサービスの分野において効果的なUX改善を行うために注意すべき点は主に以下の2点です。

• 医療関係者の意見も考慮する

  ヘルスケアサービスを展開していくにあたって、医療関係者の意見も重要になります。実際に医療現場で必要なレベルの質を担保するために。、医師や看護師などの専門家の意見を取り入れ、医療現場で便利に使われるようなサービスにすることが必要になります

• 関連する法律や規制を遵守する

  健康に関するサービスに関しては、薬機法や景品表示法などのさまざまな法律に抵触してしまいトラブルが生じるケースが多く発生しています。こういった関連する法律を軽視して改善をしてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまい損害を被ってしまうこともあるので注意することが必要です

ここではアメリカのデジタル薬局サービスのスタートアップで近年、多額の資金調達を実施したことでも有名なCapsule Pharmacyの事例を紹介します。

• 背景

  Capsule Pharmacyは、オンライン薬局サービスであり、処方箋を受け取り、薬を配送することができるサービスです。しかし、以前は実際にさまざまな情報を入力して最終的に薬をうけとるまでがとても大変でした。この複雑なプロセスは多くの人々にストレスを与えておりユーザーの利用率向上を阻害していました。

• 施策

  • ステップの簡略化

    Capsule Pharmacyは、処方箋をアップロードし、配送先情報を入力するだけで、薬を受け取ることができる簡単なステップを導入しました。また、ウェブサイトやスマートフォンアプリ上のUI改善を実施し誰でも簡単にステップを完了できるようにしました。

  • カスタマーサポートの改善

    Capsule Pharmacyは、カスタマーサポートの改善にも注力しました。ユーザーは、ライブチャットや電話でCapsule Pharmacyのサポートスタッフに直接問い合わせることができ、疑問や問題があれば簡単に解決することができます

• 効果

  Capsule Pharmacyは、簡単なステップとカスタマーサポートの改善により、利用者の増加を実現しました。一度利用したユーザーのリピート率を向上させることで長く使ってもらえるサービスとなり、2021年4月には評価額1B＄でユニコーン企業の仲間入りをしました

自社でUXを重視した事業開発プロジェクトを推進するためには、以下に示すような中長期的な施策をおこなっていく必要があります。

• 社内 / プロジェクト内のUX人材育成

  社内において、実際にUXを重視したコンセプト設計や検討をおこなう人材が不足している場合は、どうしてもプロジェクトの推進力が落ちてしまいます。人材の育成は短期的に行うことが難しいので、中長期的な目線での人材投資 / 機会創出が求められます。

• 組織全体のデザイン思考の重要性の啓蒙

  社内やプロジェクト内においてユーザー体験が軽視されていると、あらゆる場面において各所の協力を得ることができずプロジェクトが進まなかったり、最悪の場合は頓挫してしまうことも考えられます。

ヘルスケアサービスのUXを改善することは、サービスをグロースさせるためにとても重要です。良いUXはユーザーの満足度を高め、サービスの評判を向上させ、結果としてさらに多くのユーザーに「健康」というかけがえの無い価値を届けることができます。今一度、自社のサービスについても課題を見つけ、UXデザイン改善について議論してみてはいかがでしょうか？